薄れゆく四季の趣
株式会社シー・キューブは、学習参考書や教材を中心に、執筆・編集・データ制作を手がける編集プロダクションです。
「すべての人に学ぶ楽しさを」という理念のもと、幼児・小・中・高・大学受験・資格試験といった、
幅広い教育分野の教材づくりに携わっています。
近年、寒さが和らぐとすぐに暑さが訪れたり、少し涼しくなるとあっという間に冬の寒さがやってきたりと、
春や秋を感じる期間が極端に短くなったように思われます。
テレビでは、長く続く夏を「初夏・盛夏・猛暑」の三つに分け、五季を想定して衣料品などの製品を提供する企業もあるようです。
四季の変化は、単なる気温や天候の問題にとどまりません。
俳句や和歌に詠まれてきた季節感、旬の食材を味わう食文化、花見や紅葉狩り、スキーなどの観光――これらはいずれも、明確な季節の移ろいに支えられてきました。
もし、このまま四季の趣が失われてしまえば、日本の文化にも少しずつ影響が及ぶのではないでしょうか。
教育の現場にも影響が考えられます。理科や国語の教材には、春の桜、秋の紅葉、冬の雪景色といった季節を題材にした内容が数多く登場します。もし季節の変化が曖昧になれば、教材に記された事例と子どもたちが実際に体験する自然の姿がかけ離れ、「教科書の世界は現実と違う」という違和感を抱かせてしまう可能性があります。
地球温暖化による季節の変化は、「自然環境」だけでなく、「教材の在り方」や「学びの実感」にまで影響を及ぼす課題だと言えるのではないでしょうか。